Portfolio 003
No.56「NEGRO」です。ASIA AWARDでSEMI GRAND PRIXを頂きました。
木製のアームチェアはその歴史から見ても無骨で鈍重なものが多くそこに疑問を持っていました。しかし、木材という素材では構造や形状に限界があり、繊細で軽量なアームチェアは制作されてきませんでした。そこで私は無垢の木材にカーボンファイバーを挟む合板を提案しました。このことにより木材ではカバーできなかった方向の力のモーメントに対しても対応できるようになり、より細く、従来の木材よりもはるかに頑丈で軽いパーツを作り出すことができるようになりました。また、従来の木製の椅子の歴史の中で、木の節を使用した椅子は存在しませんでした。なぜなら、節は木材の中でも密度や水分含有量が違うためクラックや反りの原因になってしまうからです。しかし、この合板ではカーボンとエポキシ樹脂により木材が矯正されているためそのような心配はありません。また節がテクスチャーとして椅子の表面に現れることも新しい発見でした。木造建築の梁や、より繊細な表現の際に使用されることを願って制作した作品です。
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