ADAPTATION DESIGN

東京藝術大学の大学院生と武蔵野美術大学の教務補助の二足の草鞋を履く男のブログ

The Giving Tree:「飯泉の大杉」

No.31 先日、仕事の関係で酒々井プレミアムアウトレットに行く用事があり、向かっている途中のGoogleマップ上に気になる文字を発見しました。

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そう皆さまお気づきの通り、「飯泉の大杉」です。なぜこんなに存在感があるのか定かではありませんが、ポツンとあるその五文字に心奪われた私は、仕事の帰りがてらそこに立ち寄ってみることにしました。農家と農家の間の細道の急な坂を下り、少し登ったところにその大杉は姿を現しました。

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和名「杉」は学名をCryptomeria japonicaといい、ヒノキ科スギ亜科スギ属の常緑針葉樹です。「Cryptomeria(クリプトメリア)」はギリシャ語の「cryptos(隠れた)+ meris(部分)」に由来していて、杉の木は日本固有の木なので種小名japonicaと日本を示す単語がついていて、直訳で「日本の隠れた財宝」と言われています。葉の先は針状に尖り、枝全体としては一面に上向きの針を並べたようになります。樹皮は褐色で成長した幹の樹皮は縦に裂けています。普通樹木は細長く直立に成長しますが、屋久杉で知られるように成育条件によりある程度の高さが出ると幹を太くすることがあります。

 

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「飯泉の大杉」は伊豆神社の境内にありまして、目通り径4.3m、地元の伝承では樹齢700年(推定樹齢450年)の巨木です。日本にある杉の巨木の中ではそこまで大きなものではないにしても、実際に間近で見上げるとその迫力は確かなものでした。今から450年前頃といえば織田信長が上洛し今川家が滅亡した信長全盛期の時代で、その時代の酒々井こと、千葉はもとい関東全域はこちらも全盛期の北条氏が統治していました。そんな時代から存在していると思うとその生命力には頭が上がりません。

 

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伊豆神社との全体像はこちらです。伊豆神社を守る御神木感満載の位置に大杉は構えています。この神社は火の神、鍛冶の神様である伊豆神社を祀っています。もともと飯積区には鍛冶作の地名が残っていますので、かつて鍛冶工房があった場所なのかも知れません。また一緒に祀られている子安神社は安産・子育ての神様として有名です。

 

何気なく立ち寄った「飯泉の大杉」でしたが、いくつも時代を超えてきた杉を眺めていると日頃の小さな事など取るに足らないくだらないことだと教えられたような気がして、とてもリフレッシュになりました。なかなかいい体験だったので、他の日本に存在する巨木にたまに立ち寄って記録していきたいと思います。

 

タイトルである「The Giving Tree」はShell Silversteinの名作絵本からとりました。私が一番好きな絵本で、物語の内容は涙なしには語ることはできません。その内容はこちらの記事をご覧ください。

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